人間だれしも、他人には踏み込んで欲しくない「心の中の領域」を持っているものです。
ほんの些細なものもあれば、底なしに深い闇を抱えている人もいます。
そうした心の領域に、何の遠慮もなくズカズカと土足で踏み込んでくる友人っていませんか?
もちろん悪意があるわけではないのでしょうが、やられた側は不快になったりイラッとしたり傷ついたりしてしまうもの。
どうすればそういう無神経な人からの「攻撃」をかわすことが出来るのでしょうか?
今回は、他人には触れて欲しくない「心の領域」に平気で踏み込んでくる友人の対処法について考えてみましょう。
人の心に土足で踏み込む人に、本当に悪意はないのか?
まず最初に考えたいのは、他人の領域に土足でズカズカと入ってくる人に本当に悪意はないのかどうかです。
順番にみていきましょう。
ケース1:悪意のある場合
明らかに意図的にあなたの踏み込んで欲しくない心の領域(聖域)に踏み込む例として代表的なのは、妬みからくるものです。
同期入社で職場も同じ、仕事だって同じようにやっているつもりなのに何故かあなたばかりが評価が高い。
そんな状況になったら、あなたの同僚は面白くないでしょう。
そんな状況が続いていると、あなたの同僚は焦りはじめます。
なんとか自分の評価を上げたいと思い、仕事に精を出すのは勿論ですが、たまに歪んだ方向に行っちゃう人がいます。
ついついあなたの足を引っ張るような行動に出てしまう・・・
ありがちなのが、あなたのプライベートなことを会社で話してしまうこと。
プライベートといっても、会社での付き合いですからたいして深い情報のやりとりはしていないでしょうから、他愛ないことがメインだと思います。
でも、それがあなたの会社でのイメージと異なった印象を与えてしまうような場合はあまりいろんな人に知られたくないと思いませんか?
とはいうものの、会社でそういう些細なことをばらされたとしても、仕事に支障が出るようなことはないでしょう。
みんな大人ですから「へえ、君の意外な一面を見たなぁ」くらいのことは言われても、それ以上のことはないと思います。
相手に悪意があったとしてもあなたに与える外的な影響は限定的です。
ただしあなたの内面に「それは他の人に知られたくないなぁ」と思っている部分があるとしたら、多少なりとも不愉快な思いになりますよね。
ケース2:悪意なく土足で踏み込んでくる場合
次のケースは悪意なく土足で踏み込んでくる場合です。
相手はあなたの心の中に踏み込んでいるという認識はなく、あっけらかんとあなたを傷つけます。
ひとつ例を挙げてみましょう。
これは私の実際の体験談です。
1990年代初頭、今ほど輸入車(当時は「外車」というのが一般的な言い方でした)に乗っている人が多くなかった時代、メーカーや車格に関係なく「外車に乗っている」ということがある種のステータスだった時代がありました。
もちろん、ドイツ車(ベンツとかBMW、アウディなど)は羨望の的でしたし、ポルシェやフェラーリなんて雲の上の存在で「憧れを超えた」クルマでした。
今ではあまりイメージできないかもしれませんが、フォルクスワーゲンのゴルフみたいな小型のファミリーカーでさえ外車と言うだけで「所有することの優越感」みたいなものを感じることの出来た時代です。
当時、私はかなり無理をして外車を購入しました。
フランスのルノーから発売されていた「ルーテシア」というクルマでした。
ゴルフよりもさらに小さいクルマでしたが、私としては「鼻高々」でした。笑
そのことを会社の同僚のHくんに話したところ、彼は私にこう言いました。
「あぁ、ルーテシアって、○○○(国産の小型車で不人気のクルマ)によく似てるよね」
この一言に、私は大きく傷つきました。
やっとの思いで購入した自慢の愛車を、よりによって国産の不人気車に似てるなんて!
百歩譲って客観的に両車をみてみれば確かに若干似ているところもあるのは事実です。
ですが私にしてみれば愛車をけなされたような気分になったものでした。
Hくんに悪気は全くなかったと思います。
彼は思ったことをあまり考えもせず口にするタイプだったので、私がどんな気持ちになるかなんて考えることもせず無意識に言ったのでしょう。
なんとも些細な出来事です・・・笑
私のこの体験談を読んで、
「え、そんな程度のことで傷つくのっておかしいでしょ!」
と思っている人もいることでしょう。
・・・たしかにそうかもしれません。
でもそういう人はきっと、他人が傷つくような言葉を無意識に発しているかもしれませんよ。
言っている本人にしてみればその程度のことで傷つくなんて思いもよらないかもしれませんが、人によってはそのひと言で再起不能になるほど傷つくことだってあるんです。
もうひとつ実例を。
昨年まで私が在籍していた企業の同僚(Sくん)の例です。
私たちは営業部でしたので、毎週定例の営業会議というのがありました。
会議では全員がひとりずつ前週の成果と今週の計画について報告していきます。
Sくんも前週の報告を行っていましたが、会議に出席していた別のメンバーに、
「Sくんの今週やったことって、ほとんど意味ないでしょう」
と言われました。
そしてSくんはなぜそのような行動を取ったのか、その行動に何を期待したのか、等を問い詰められました。
Sくんはその行動が結果こそ伴わなかったものの正当なものだったことをしっかりと説明し、会議に出席したメンバーは納得しました。
ところがこの会議が原因でSくんは会社を休みがちになり、心が病んでいきました。
私はSくんの心が病んでしまった理由についてそれとなく聞いてみました。
するとSくんは、自分がやったことについて「意味がない」と言われたことで全人格を否定されたような気持ちになったのだそうです。
自分としてはすごく頑張ってきたのにそんな風に思われていたなんて・・・やる気が失せた、と。
この例も人によっては「なんでその程度のことで?」と思うかもしれません。
そうなんです、人によっては「その程度のこと」で大きく傷ついたり心が病んだりしてしまう人もいるものなんです。
あなたが何も考えず気楽に「そんなつもりで言ったんじゃない」ひと言が、相手の心に土足で踏み込むことになってしまっているかもしれないんです。
土足で踏み込んでくる人の対処法とは?
あなた自身が他人の心にズカズカと踏み込まないよう注意するのは勿論ですが、いくら注意していてもあなた自身が無意識に、相手を傷つけていることに気付かない事もあり得ます。
そうなんです、踏み込んでしまう側は「無意識」なんです。
人の心に土足で入る人の心理の根底には「そんなことをしている認識がない」という「無意識」があるんです。
そしてこれは無意識なだけに厄介です。
もしそのことにあなた自身が気付いた場合には、相手にしっかりと話すことです。
・あなたを傷つけるつもりはなかった。
・とはいえ傷つけてしまったことに対して申し訳なく思っている。
・今後はこのようなことのないよう注意するが、もしあったら遠慮なく言って欲しい。
そして、逆にあなたが他人からズカズカと踏み込んでこられることもあるでしょう。
そのときには相手にはっきりと言うことです。
・きみに悪気があったとは思っていないが、きみのひとことで深く傷ついた。
・僕は言葉に打たれ弱い一面があるので他人の言葉に傷つくことがままある。
・出来る範囲で構わないから、そういう言い方は今後しないで欲しい。
こうしたことを友人に言うことで、友人関係に影響が出るのでは?
と思うかもしれません。
でも遠慮すべきではないです。
友人として今後も付き合っていく以上、あなたばかりが傷ついている状態で我慢をし続けるのは決して良いことではありません。
ちゃんとあなたの思い、気持ちを伝えることです。
もしも、それで友人関係が終わってしまうのであれば、遅かれ早かれその友人関係は終わっていくと思って間違いありません。
互いを尊重し合い、互いを高め合っていける関係が友人関係じゃないですか?
その部分に変な遠慮があってはいけないと思いますよ。
結局のところ
今回は、人の心に土足でズカズカと踏み込んでくる友人について考えました。
自分が「される側」で考えるととても不愉快なものですが、あなたも気付かずに「する側」になっているかもしれません。
そこに悪意が存在することは稀です。
悪意なく、無意識に放ったひと言が相手の心に深く突き刺さるんです。
そうした「言葉の矢」はあなたも無意識に放っているんです。
無意識に出ているため、なかなかこうした状況をなくすことは難しいですが、お互いに「いままでよりほんの少しだけ」思いやりを持ってみてはいかがでしょうか?