・こんなことを言ったら周りの人からどう思われるだろう。
・これをやったらみんなどう思うかな。
・自分の本心が知れたらみんな私を軽蔑するだろうか。
多少の差はあれ、こうした「他人の評価」を気にする人ってすごく多いです。
あなたにも心当たりがあるんじゃないですか?
これは私たちが子供の頃から家で、学校で、そして大人になってからは会社などで常に他人の評価を気にするよう教育され続けているせいです。
後ほど詳しく述べますが、これは決して悪いことではないのですが、度が過ぎるとストレスを抱え込むことにもなりかねません。
出来ることなら他人の評価なんか気にせず気ままに生きていきたいですよね?
というわけで今回は他人の評価との向き合い方について考えていきたいと思います。
なぜ「他人からの評価」がそんなに気になるのか?
これってけっこう素朴な疑問だと思うのですが(笑)
何故そんなに他人からの評価や他人の目を気にしてしまうのでしょう?
いろいろな意見や考え方はあると思いますが、多くの人に納得いただけそうな答えとしては「日本はムラ社会」だから、というところでしょうか。
あなたはさまざまな「ムラ」で評価され続けている?
最も小さなムラはもちろん「家族」ですね。
家族にはお父さんとお母さんがいて、あなたは小さな頃からこの二人の価値観を何かにつけて押しつけられて育ちました。
・おまえが行儀良くしないとお母さんが笑われるんだから!
・テストで良い成績をとってクラスで一番になれ!
・そんなに大きな声で泣くんじゃない、近所に対してみっともないだろ!
こんなことを言われて育てられた人が多いんじゃないですか?
そして学校に行くと、鉄棒や駆け足が早い子よりも勉強の出来る子の方が優れていると評価され、歌の上手い子は音楽の成績が良くなるし、歌が上手くない子は音楽の成績が良くならない。
テレビをつければクイズ番組で難しい問題に正解を出したタレントさんが「凄い」ともてはやされているし、オリンピックやワールドカップなどのスポーツイベントでは勝ったものが絶賛され、負けると肩身が狭い。
会社では営業成績の良い社員は出世できるが売り上げで会社に貢献できなかった社員は最悪左遷されたりします。
日本という国(他の国がどうなのかは分かりませんが)は、その大半がそれぞれの「ムラ」で行動や振る舞いが評価されているんです。
これはその「ムラ」が家族であろうと学校であろうと部活であろうと会社であろうと関係ありません。
あなたが属する「ムラ」で決められた評価基準によって、あなたの序列が決まってしまうんです。
あなたが好むと好まざるとに関わらず、それが日本という国です。
子供の頃から今まで、ずっとそういう「ムラ」のなかでさまざまな評価をされてきていますから、どうしたって「他人からの評価」が気になってしまうんですね。
「ムラ社会」で生きてゆくということ
日本という国は、こうした細分化された数々の「ムラ社会」で構成されています。
そしてあなたも私も、さまざまな「ムラ社会」に所属しているんです。
ですから他人から評価されるのは避けられないことといえます。
あなたが何もしなければ、あなたはこうした「ムラ社会」の一員として過ごすことになります。
そしてその「ムラ社会」のルールに従って、一生懸命に生きていく。
その中で頭角を現し高く評価してもらうために・・・
でもここでちょっとだけ、考えてみてください。
あなたはそれで良いんですか?
この生き方って、あなたが主体じゃないですよね?
親が期待するような子になるために、クラスでトップになってみんなに認められるために、出世して社会的地位を得るために・・・
それがあなたの「望んだ生き方」ならば何も言うことはありません。
でも、もしもあなたがもっと他の生き方をしたいと思っているのなら・・・
このままで良いんですか?
そうは言っても、どうすれば良いのか分からない・・・ですよね。
方法はふたつです。
・ムラ社会を変えるか
・ムラ社会からはみ出るか
順番にみていきましょう。
「ムラ社会」は変えられるのか
まず、あなたが属する「ムラ社会」に居続けたいと思うなら、あなたにとってより居心地の良い「ムラ社会」に変えていく必要があります。
ムラ社会って、そんなに簡単に変えられるの?
と思っていますよね?
実は案外、脆いんです「ムラ社会」って。
当然のことですが、ムラ社会には「評価する側の人」と「評価される側の人」が存在します。
部活というムラ社会では監督やコーチが「評価する側の人」で、選手たちが「評価される側の人」となります。
家族というムラ社会では両親が「評価する側の人」で、子供たちが「評価される側の人」ですね。
評価する側の人が評価するためのルールを作り、それに従って評価します。
たとえばお母さんが「ご飯を残さずに食べられるのが良い子」というルールを作れば、子供は良い子と「評価される」ために頑張って嫌いなおかずも食べようと努力します。
ここで子供が「良い子」という評価を得るために頑張って嫌いなニンジンを全部食べることが出来れば、この子は親から「よく頑張ったね、良い子だ」と期待したとおりの評価を得ることが出来ます。
しかしその子がどうしてもニンジンが食べられなかった場合、絶対に食べられない、食べるものか、これ以上無理強いするなら家出するぞ!と親に迫ったとします。
親はどうすると思います?
・そこまで言うなら無理に食べなくてもいい
・じゃあ代わりになる別の野菜を食べなさい
・調理法を変えてみるからもう一度頑張ってみて
などなど、多少は親も折れる可能性がありますよね?
実はこれ、あなたの行動で家族という「ムラ社会」のルールが変わるかもしれないということなんです。
ここが重要な点ですが、ムラ社会は案外小さな集団だと言うことなんですね。
小さな社会であればあるほど、その中の構成員次第でルールが変わる可能性があるということです。
あなたにとってどうしても我慢できない事が評価基準になっているなら、声を上げることで、あなたに有利なルールに変化させることも可能なんです。
「ムラ社会」を変えるのが無理なら、そこからはみ出る
さて、あなたが親に「ニンジンなんて食べられない、無理強いするなら家出する!」と迫ったときに、
「いいよ、じゃ出て行きなさい」
と言われる可能性もありますよね?
あなたがまだ子供なら、出て行くわけにはいかないかも知れません。
多くの場合、こんなときには泣き寝入りするしかないですね・・・
これが家族という「ムラ社会」ではなくもう少し大きな「ムラ社会」だったら、たとえば会社組織にあなたが属していて、どうしても納得できない評価基準を突きつけられた場合、抵抗すれば、
「いやなら辞めてもらっても構わないんだけど」
なんて言われちゃいますよね?
そして多くの社員は会社に抵抗することを諦め、会社の言いなりになっていきます。
上司の評価や人事部門の評価を気にしながら、多大なストレスを溜め込んで毎日オシゴトに励むんです。
溜め込みすぎると壊れます。
体の不調は比較的治しやすいですが心が壊れるとそう簡単には治すことが出来ません。
で、あなたに質問です。
それでいいんですか?
良いわけないだろ!
そう思うなら、勇気を持ってそのムラ社会からはみ出ることを考えましょう。
先ほどの会社の例では「会社を辞める」というのもはみ出し方のひとつではあります。
ありますが、これは誰にでも出来るほど簡単なことではありませんね?
一気にはみ出すのではなく、少しだけはみ出してみる
なにも会社を辞めなくてもいいんです。
そんな「打ち上げ花火」みたいな派手なはみ出し方をしなくても、って話です。
まずは「ほんの少しだけ」はみ出してみましょう。
たとえば、今までは自分の意見を言うのを我慢していたなら、少しだけ意見を言ってみることから始めて見てはいかがでしょうか?
ひとつ例を挙げてみますね。
課長は今の課の状況からその目標はちょっと高すぎると思いつつも、部長の指示に「分かりました」と答えました。そして課長は課内会議で「今期の売り上げ目標は○○億円達成としますので、達成のためのアイデアを出すように」と課員たちに言いました。
当然のことながら課員たちは「そんなのは絵に描いた餅」のようなもので、達成できるはずがないと口々に言いますが、課長は「部長からの指示だから、なんとか達成するためのアイデアを出してよ」と言うばかり。
今までは、この「高すぎる目標」に対し、出来もしない(やる気にもなれない)行動のアイデアをみんなで出し合い、結局そんな行動は出来るはずもなく目標も達成できない・・・という堂々巡りを繰り返してきました。
そこであなたは「ほんのちょっとだけ」はみ出してみることにしました。
「課長、課長は部長からの指示は私たちにそのまま下ろしてくるくせに、私たちの意見はちっとも部長に伝えてくれませんよね」
こんなこと課長に直接言ったのは初めてでした。
これで課長が変わるとは思えないまでも、あなたが言いたいことを言うという「新たな行動」に出たことで、課内の雰囲気が変わるかもしれません。
それをきっかけに、他の課員も言いたいことを少しずつ言うようになる、という変化が起き始めました・・・
あなたの勇気を持った「ちょっとした行動」が、閉塞感に支配されていた営業課の雰囲気を変えるきっかけになりました。
この営業課という「ムラ社会」の変化そのものは小さいかもしれませんが、あなたの気持ちの上での変化は決して小さなものではありません。
課長や部長からの評価を気にしすぎて何も出来なくなるよりも、ほんのちょっとでも良いから何かをやってみることで自分自身が想像以上に楽になるかもしれません。
まとめ
他人の評価を全く気にしないで生きてゆくことは、今の日本では難しいでしょう。
でも気にしすぎることで、自らを生きにくくしていることに気付くべきです。
ほんの少しで良いので自分から「変化のための行動」を起こしてみましょう。
案外「ムラ社会」は脆いものですから、あなたにとって良い方向に変化し始めるかもしれませんよ。
何もしなければ何も変わりません。
これだけは確かです。